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札幌手稲ポプラの丘
法律事務所
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個人情報・情報漏えい・ネット対策

Information Security & Internet Defamation in Care Facilities

介護・医療の現場が扱う「要配慮個人情報」は、一度漏えいすれば致命傷になります。

タブレットの紛失、LINEでの誤送信、退職者による名簿の持ち出し、そしてGoogleマップ等での悪質な口コミ。これらは行政指導、損害賠償、採用難、さらには事業停止処分につながる重大な経営リスクです。
当事務所では、事前のルール整備による「予防」から、漏えい時の「初動対応」、ネット誹謗中傷への「法的措置」まで、介護事業者に寄り添った実務対応を行います。

個人情報・情報漏えい対策

介護現場の「うっかり」が命取りに

訪問介護や看護、施設運営の現場では、利用者の病歴、家族構成、資産状況といった極めて機微な「要配慮個人情報」を日常的に扱います。一方で、タブレット端末や紙の記録を持ち歩くことが多く、セキュリティインシデント(事故)と隣り合わせの環境です。情報漏えいは単なる謝罪では済まず、個人情報保護委員会への報告義務、行政監査、利用者からの損害賠償請求、そしてメディア報道による信用の失墜(採用への大打撃)に直結します。

よくある漏えい・炎上の典型パターン

まず整えるべき社内ルール(チェックリスト)

「気をつけてね」という口頭注意だけでは、施設側の安全管理義務を果たしたとは認められません。以下のルールを明文化し、運用する必要があります。

1. 端末のパスワード/生体認証ロックの義務化
2. 私物スマホの業務利用(BYOD)の原則禁止または厳格なルール化
3. 顧客情報の持ち出し禁止規程の制定
4. 利用者宅や施設内での撮影ルールの明確化
5. 従業員向けSNS利用ガイドラインの策定
6. 入社時の情報管理誓約書の取得
7. 退職時の秘密保持誓約書の取得とデータ消去確認
8. 退職者のシステムアクセス権限の即時削除
9. 業務委託先(システム・廃棄等)とのNDA締結
10. 書類廃棄時のシュレッダー利用の徹底
11. 訪問時、車両離脱時の記録持込禁止(車上荒らし対策)
12. USBメモリ等、外部記憶媒体の使用禁止・制限
13. FAX・メール送信時の宛先ダブルチェック体制
14. 年1回以上の定期的な情報セキュリティ研修の実施
15. 事故発生時の緊急連絡網と報告フローの明確化

LINE・チャット・クラウドの運用ルール

便利だからといって、セキュリティ対策のない一般向けのチャットツールで、利用者の氏名や病状などのセンシティブ情報を共有していませんか?「便利と危険」の線引きが必要です。

✖ やってはいけない運用(NG例)
  • 個人のLINEアカウントで「〇〇事業所スタッフ」というグループを作り、シフトや利用者の病状を共有する。
  • 利用者の実名や詳細な住所が入った写真を、ロックのかからない私物スマホでやり取りする。
  • 退職したスタッフが、いつまでも情報共有グループLINEに残っている。
✔ 推奨される運用(OK例)
  • 会社契約のビジネス用チャットツール(アクセス権限管理が可能で、端末にデータを残さないもの)を導入する。
  • 情報の送信時は「A町にお住まいのS様」など、万が一漏れても個人が特定されにくい匿名化をルールづける。
  • 退職と同時に、管理者が一括でアカウントのアクセス権を停止する。

漏えいが起きた(起きそう)ときの初動

事故が起きた際、最もやってはいけないのは「隠蔽」や「証拠の上書き」です。事態の把握と被害拡大の防止が最優先されます。

【発生〜24時間以内】被害の最小化と事実確認 対象端末の遠隔ロック・ワイプ(消去)、ネットワーク遮断。関係者からのヒアリング(5W1Hの整理)。役員・管理者への緊急報告。
【24〜72時間以内】関係各所への報告と影響評価 漏えいした情報の種類と件数の特定。個人情報保護委員会への速報(要件を満たす場合)。指定権者(自治体)への報告。ご本人・ご家族への謝罪と事実説明の方針決定。
【〜1週間以降】原因究明と再発防止 外部専門家(弁護士・ITベンダー)を交えた詳細調査。個人情報保護委員会への確報。対外的な公表(HP等)の要否検討。社内ルールの改定と再発防止策の徹底。

ネット誹謗中傷・口コミ被害(Googleマップ等)の考え方

Googleマップの口コミや転職サイトに、「あの施設のヘルパーは利用者を虐待している」「経営者がパワハラをしている」といった事実無根の書き込みがなされるケースが増えています。しかし、「売上に響くから」「気分が悪いから」という理由だけでは削除されません。削除には「事実の摘示(嘘が書かれている)」「名誉毀損・侮辱」「業務妨害」といった法的な根拠と証拠が必要です。また、「愛想が悪かった」などの『主観的評価』は表現の自由として保護されやすく、削除のハードルが高くなります。

【返信の鉄則】
事実関係が曖昧なまま「申し訳ございません」と全面的に謝罪しないこと。また、反論するあまり「〇〇様ですね。あの時の対応は…」と利用者の個人情報や来所履歴を晒すのは二次炎上の元です。「ご不快な思いをさせた点については真摯に受け止め、事実関係を調査いたします。恐れ入りますが、詳細については直接お電話にて…」と、冷静にオフライン(直接の対話)へ誘導するのが基本です。

弁護士が入る意味と、対応の流れ

弁護士は、単に裁判を起こすだけでなく、以下のような場面で事業所を守ります。

【ネット対応の目安期間】 任意削除請求:1〜3週間 / 仮処分申立(裁判所経由の削除):1〜2か月 / 発信者情報開示請求:3〜6か月 ※媒体の判断や裁判所の混雑により前後します。

対応の違いが結果を分けたケース

※以下は理解を深めていただくための架空事例(モデルケース)です。個別事情により結果は異なります。
弁護士なし
口コミ放置による採用難

退職者とみられる人物から転職サイトに「残業代未払い、パワハラ横行」と書き込まれた。放置した結果、求人への応募がピタリと止まり、人材不足でベッド稼働率が低下。経営を圧迫した。

弁護士なし
私用LINEでの情報漏えい

ルールを定めずスタッフの私用LINEで業務連絡をしていた。不満を持った元職員がトーク画面のスクショをSNSに暴露。利用者からの損害賠償請求に発展し、多額の賠償金を支払う羽目に。

弁護士なし
端末紛失の隠蔽と行政処分

職員が利用者名簿入りのUSBを紛失。怒られるのを恐れ隠蔽していたが、後日警察からの連絡で発覚。初動の遅れと報告義務違反が重なり、自治体から厳しい行政指導(改善勧告)を受けた。

弁護士介入
悪質口コミの迅速な削除

「この施設のスタッフが虐待をしている」という事実無根のGoogle口コミに対し、即座に弁護士に依頼。業務妨害として仮処分を申し立て、約1ヶ月で削除に成功。利用者の不安を払拭できた。

弁護士介入
漏えい時の的確な初動対応

訪問車への車上荒らしで書類が盗難。直ちに弁護士の助言を受け、警察への被害届、行政への報告、ご家族への事実説明を迅速かつ誠実に実施。結果的に信頼を損なうことなく事態を収束させた。

弁護士介入
ルール整備による意識改革

顧問弁護士の指導のもと、私物スマホの利用禁止やSNSガイドラインを策定し、全スタッフから誓約書を取得。併せて研修を実施したことで、現場のセキュリティ意識が劇的に向上し、インシデントが激減した。

よくある質問(Q&A)

どこまでが「個人情報」に該当しますか?
氏名や生年月日だけでなく、個人の顔が鮮明に写った写真、防犯カメラの映像、音声データなども、特定の個人を識別できる場合は個人情報に該当します。介護現場における利用者の病状や障害の有無は、より厳格な管理が求められる「要配慮個人情報」となります。
利用者のご家族が、施設内で勝手に写真を撮ってSNSに上げています。
他の利用者やスタッフが写り込んでいる場合、プライバシー侵害の恐れがあります。施設の施設管理権に基づき、撮影の制限や、SNSからの削除を求めることができます。入所時の契約書や重要事項説明書に撮影・SNS投稿に関するルールを明記しておくことが重要です。
職員の私物スマホで業務連絡をさせていますが、危険でしょうか?
非常に危険です。退職時に業務データを消去したか確認が困難であり、情報漏えいの温床となります。また、スマホの紛失時に遠隔データ消去(ワイプ)などの管理ができません。会社支給の端末を使用するか、BYOD(私物端末の業務利用)の厳格な規程を設ける必要があります。
退職したヘルパーが、利用者の名簿を持ち出して独立したようです。
不正競争防止法上の「営業秘密侵害」や、個人情報保護法違反に問える可能性があります。また、就業規則や退職時の誓約書に競業避止義務・秘密保持義務を定めていれば、損害賠償請求や顧客への営業停止を求める警告書を送付することが考えられます。
Googleマップの事実無根の悪評には、どう返信すべきですか?
感情的に反論したり、相手の個人情報(「〇月〇日にショートステイをご利用の〇〇様ですね」等)を書き込んだりしてはいけません。「ご不快な思いをさせた点については真摯に受け止め、事実関係を調査いたします」と冷静に記載し、詳細は電話やメールなどのオフラインへ誘導するのが鉄則です。
ネットの口コミを削除できる確率はどのくらいですか?
対象の媒体や投稿内容によって大きく異なります。「スタッフの愛想が悪かった」などの主観的評価は削除が難しい傾向にあります。一方、「〇〇が横領している」「利用者に対して暴行した」など、明確な事実の摘示があり、それが虚偽であると証拠をもって示せる場合は、削除の可能性が高くなります。
悪質な書き込みをした犯人を特定することはできますか?
プロバイダ責任制限法に基づく「発信者情報開示請求」により特定できる可能性があります。ただし、法的要件(権利侵害の明白性など)を満たす必要があり、また通信ログの保存期間(通常3〜6ヶ月程度)が過ぎると特定が不可能になるため、早急な対応が必要です。
情報漏えい事故が起きた場合、必ず行政へ報告が必要ですか?
改正個人情報保護法により、「要配慮個人情報が含まれる漏えい」「不正アクセスによる漏えい」「1,000人以上の情報漏えい」などの一定要件を満たす場合、個人情報保護委員会への速報(概ね3〜5日以内)および確報(30日以内)が法的に義務化されています。

弁護士費用の目安(料金表)

※以下は標準的な事案の目安です。難易度、対象件数、緊急性によって増減する場合があります。詳細はご相談時にお見積りいたします。
※金額はすべて税込表示です。別途、実費(印紙代、郵券代、プロバイダ手数料等)が発生します。

予防・初動支援

情報セキュリティ予防・初動対応
情報管理ルール整備
(規程ひな形・誓約書・運用フロー策定)
220,000円〜
社内コンプライアンス研修
(60〜90分、資料作成費込)
110,000円〜
漏えい事故の初動支援
(事実整理・対外文書/謝罪文の助言等)
330,000円〜

ネット投稿・誹謗中傷対応

削除請求・開示請求
任意削除請求(着手金) 330,000円〜
仮処分申立(着手金)
※裁判所の手続による削除
550,000円〜
発信者情報開示請求(着手金) 550,000円〜
意見照会書への対応
(開示請求を受けた側の意見書作成)
330,000円〜
報酬金 削除や開示が成功した場合、事案に応じて別途報酬金が発生します。(着手金と同額程度が目安)

顧問契約との関係

情報漏えいや炎上は「1分1秒」を争う事態です。顧問契約をご締結いただいている法人様につきましては、電話・チャット等での優先的な即時相談や、簡易な通知書の作成、初期段階の法的アドバイスを顧問料の範囲内(追加費用なし)で対応いたします。また、仮処分等の重い手続に進む場合でも、上記規定料金から一定の割引が適用されます。

お問い合わせ

情報は「漏れてから」「拡散されてから」では遅すぎます。
事前の予防策と、万が一の事後対応を強力に支援します。証拠が消える前に、お早めにご相談ください。

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